●抗がん治療の代替療法としてのびわ種服用に関する注意

 近年、民間療法であるびわ温灸療法の普及により、インターネットを通じてびわ種の健康療法に関する問い合わせが非常に増えています。特に多い質問が、「抗がん治療の代替療法としてアミグダリンの含まれるビワ種が、がんに効くのか」という問い合わせです。

 まず、結論から申しますと、びわの種には2%ものアミグダリン(青酸配糖体)が含まれ、経口投与で体内に吸収されるとシアン化水素という猛毒の物質に変わるので、加工の過程でアミグダリンが充分に除去されていないと、危険であるということです。

 アミグダリン(青酸配糖体)は植物性の自然毒であり、青梅中から検出され、青梅を食べて食中毒を起こすことは昔から良く知られています。果肉の部分は、成熟するにともなってエムルシンにより分解されて時間が経つにつれ毒素が消えてしまうのですが、びわ種子の核内の青酸配糖体はほとんど分解せずに残ると言われています。びわ種子の核内のアミグダリン含有量は、ウメ3.2%、アンズ8%、ビワ2.0%と報告されていますので、特にがんなど体力の低下している人の服用は、十分な注意が必要となります。

 アミグダリンを服用すると、体内の腸内細菌のβーグルコシダーゼの働きによって糖が切り離され、さらに分解酵素であるヒドロキシニトリルリアーゼ(他の物質の反応速度を変化させる物質、触媒する酵素)の作用を受けると、ヒドロキシニトリル(HN)、シアノヒドリン(ケトンまたはアルデヒドにシアン化物イオンが付加したもの)を生じ、その後徐々に加水分解され青酸(HCN:シアン化水素)を生じます。
 シアン化水素は、青酸カリの致死量で200~300mg程度とされており、ケイレン、呼吸困難を起こし数分以内に死亡する猛毒です。体内で細胞に存在する酵素シトクロムオキシダーゼ(Cytochromoxidase)と結合し、細胞の呼吸を阻害するのです。アミグダリンの多量摂取による有害作用として、悪心、嘔吐、頭痛、目まい、血中酸素の低下による皮膚の青白、発熱、肝障害、異常な低血圧、瞳孔拡大、神経障害による歩行困難、意識混濁、昏睡状態に陥り最悪の場合死に至ります。
 びわ種子が砕かれると、長い時間の経過と共に、シアン化水素は糖に分解され無毒化していきますし、加熱により無毒化出来ますが、もし、アミグダリンが残存し、体内で分解されて体内でシアン化化合物が生成されるならば、病人は当然のこと、健康な人でも服用すべきではないでしょう。

 また、びわ種などに含まれるアミグダリンは従来ビタミンB17とも呼ばれていましたが、現在では、アミダグリンは人体に必須の栄養素ではないことが判っています。しかも、ビタミンは、その栄養素を除くと栄養が保てず他の栄養素で代用できないもの身体の調節機能をつかさどる調節素(ビタミン・無機質)の役目をしている有機化合物ですので、欠乏症などは知られておらず、現在ではビタミンの定義には該当していません。

 天然物が全て安全であるというのは錯覚です。漢方薬は天然物の持つ自然毒を上手く利用してわけで、中国4000年の臨床経験と、今日での科学的な検証によって、有効性や副作用、そして使い方が確認されています。
 健康食品の中には、科学的な検証がなされていない製品も少なからず市場に出回っております。健康食品は、素人では判断しにくい場合が多いので、医学・薬学関係の国家資格を持つ専門家のアドバイスを受けて、安全を確認した上で上手に利用しましょう。


●農水省 ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう

平成29年12月5日付で、農林水産省のホームページにおいても、「ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう」という注意勧告が掲載されました。

概要は以下の通りです。

ビワなどの未熟な果実や種子(たね)には、天然の有害物質が含まれています。本年度、ビワの種子を粉末にした食品から、天然の有害物質が高い濃度で検出され、製品が回収される事案が複数ありました。ビワの種子が健康に良いという噂(うわさ)を信用して、有害物質を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があります。
一方、熟した果肉は、安全に食べることができます。

詳細は農林水産省のホームページをご覧ください。

農林水産省ホームページhttp://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/loquat_kernels.html


●当コンテンツをご覧の皆様へのお願い

 当ホームページのコンテンツは、東洋医学の普及目的のためであり、びわ関連健康食品の販売目的に掲載しているものではありません。また、系列漢方専門店や鍼灸院でのびわ関連商品の取扱いも、鍼灸院内でのびわ温熱療法の施術と医療用具販売のみに限っており、枇杷種健康食品の販売は一切行っていません。市場に出ている商品は、製造過程で十分な加熱等の修治が行われておれば、安全性は確保されていると思われますが、個別銘柄のびわ関連健康食品の安全性に関する情報は一切持ち合わせておりませんので、お電話等でのお問い合わせには、一切、お答えすることはできません。皆様のご理解とご協力のほど、宜しくお願いします。


追記
独立行政法人国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報にアミグダリンの安全性に関する情報が記載されています。ご参考までに!
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail748lite.html
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