●仏教医学におけるびわの葉の薬効

 びわの葉を使った治療法は、元々仏教医学として日本に伝わったものです。古いインドの教典の中には、枇杷の木を「大薬王樹」、枇杷の葉を「無憂扇」と記載されていて、万能薬として様々な病気に用いていたようです。
 大般若経巻第九には、「薬効のある植物は色々あるが、大薬王樹(枇杷の木)と呼ばれるものは特に優れている。枝・葉・根・茎の全てに薬効成分が含まれており、水や蜜、牛や山羊などの乳に混ぜて服用してもよく、粉末にしても、丸剤にしてもよし、傷に塗っても良し、香りを嗅いでも、身体に炙っても、手に触れただけでも、生けるもの全ての病気を治す。」と説かれ、古代より、びわの葉には、優れた薬効、薬理成分が含まれていることが知られていました。

●東洋医学におけるびわの葉の薬効

 明の時代、本草綱目(ほんぞうこうもく)という薬学書を著した中国の医家「李時珍」は、びわ葉の働きについて「胃を和し、気を下ろし、熱を清し、暑毒を解し、脚気を寮ずる」とびわの葉に対する薬効、薬理作用についてのべています。
 東洋医学的にみたびわの葉の薬効には、熱を泄し、肺気を清め、咳を止め、胃逆を降ろし、吐き気を止めるなどの働きがあるようです。
 日本には、奈良時代に中国を経て仏教とともに伝わりました。730年に光明皇后が創設した施薬院と呼ばれる治療所で、びわ葉療法が行われていたと伝えられています。
 江戸時代には、びわの葉に呉茱萸・肉桂・甘草・莪朮などを配合した「枇杷葉湯」が暑気払いに効果があるといって、江戸の町を売り歩いたと伝えられています。

●びわ葉の薬効成分と薬理作用

 現代の科学による薬理的な分析によると、ビワの葉の成分には、ブドウ糖、ショ糖、マルトース、デキストリン、酒石酸、リンゴ酸、サポニン、タンニン、アミグダリンなどが含まれており、その薬効成分はビタミンB17に分類されるアミグダリンと言われています。
 アミグダリンの加水分解によって生じるHCNは、気管支の知覚神経を鎮静する薬理作用、またサポニンには去痰作用などといった薬理作用があると言われています。

●昭和初期のびわ葉の抗がん作用に対する研究

 昭和二年に札幌鉄道病院の福島鐵男博士の論文によると、百二十六の臨床治研例から、ビワの葉療法が万病に効果的で、その効き目は迅速・確実であると述べています。
 
 昭和十二年には、大阪大学の安田博之博士が、ビワの生葉を加熱し蒸気をウサギの腹部に吹き付ける実験で、ビワの葉温熱療法で血液が浄化されて内臓の働きが活発になり、骨を丈夫にすることが確認されています。また、同大学の医学部では、陰茎がんの患者に同様の方法で、背中、腹部、局所に治療を試みたところ、四十九週間でがんは消滅し、健康な組織がよみがえったという報告もなされています。

●びわの葉から抗がん作用のある物質が発見される

 最近の研究では、岡山大学薬学部の吉田隆志教授らが、びわの葉からがんに対する薬効のある抗がん物質を見つけだし、その化学構造を特定すると共に、薬理作用を解明したことが、平成14年2月15日の日刊工業新聞で報じられました。
 びわの葉から発見された抗がん物質は、プロシアニジン・オリゴマーという化合物で、ヒトの口中に発生するがん細胞を用いた試験管実験を行ったところ、選択的に作用し、アポトーシス(細胞の自殺)に導くことが判りました。
 また、同時にマウスを用いた実験では発がんを遅らせる化合物ロゼオサイドという抗がん物質の存在も確認されました。

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