● がん患者さんの意識改革

 東洋医学の立場からいえば、この世に生を受けた以上、私たちの身体は一生を健康に過ごせるようになっています。病気、特にがんなどの慢性病(生活習慣病)にかかるのは、自分では正しいと思っていたり、当たり前のように思っている生活習慣や考え方、生活を取り巻く環境などが、自然の法則から外れてしまった結果、身体の機能が失調しそのまま放置していると、器質障害(がん組織が増殖するなど身体が構造的におかしくなっている状態)つまり病気と診断されるようになっていくのです。

 「自分の身体の体質を改善しながら、病気を根本的に治して行こう」というがん患者さんの意識改革が伴った治療を行うのが、東洋医学の治療の基本です。
 私の治療院にも、「びわ温灸療法でがん治りますか」「鍼でがんの痛みは止まりますか」などとメールや電話による問い合わせがあります。お気持ちは解るのですが、東洋医学はそんな即物的なものではありません。

 病気は自分の生命力で治す、または共存する、そのためには生活習慣を見直し、その上で現代医学のがん治療を受ける、漢方薬や鍼灸治療の力を借りる、そういったがん患者さんの意識改革が、病気を回復させるキーポイントとなります。


● 原始感覚と命を支える四要素

 私たちが、健康に生きていくためには、自然の営みに適応することが必須条件となりますが、現代人は、情報・知識を大量に与えられる分、本来動物として持っている原始感覚が随分失われてしまいました。知識のみに頼って生活していると、身体は自然の営みから徐々に外れて、やがて体質の悪化を招いてしまいます。

 私たちの身体は、本当に健康な状態では、自分の身体を意識することがなく、無感覚なのです。
 ところが、内蔵の失調や姿勢の乱れなど、身体のどこかのバランスが崩れてきますと、それがたとえ僅かであっても、骨格(筋肉と骨)にひずみが生じて、痛み・だるさ・痺れなど不快な症状として感じ取れるようになっています。骨格には身体のセンサーである感覚器官があって、医療用分析機器と比べても遙かに精密な感度で、身体の僅かな体調変化を捉え、不快と感じる信号を出しているのです。

 しかし、私たち現代人は、少々不快な症状が出たとしても、こんなことはたいしたことないと我慢してしまうか、仮に医療機関を受診しても、検査値にの異常は現れず、不定愁訴として様子を見ましょうといわれてそんなものかと、身体の発する不快という注意信号に対して無頓着になっています。
 不快な症状を我慢しているうちに原始感覚も狂ってしまい、気がついた頃は時すでに遅く、がんや肝炎、腎炎、脳卒中、心筋梗塞etc.、取り返しのつかない事態まで陥っていることが多いのです。

 私たちの持つ快(無感覚)-不快(愁訴)という原始感覚の物差しは、医学の分析機器よりもっと優れたものです。この原始感覚を基準にして、不快が生じたならそれが快と感じるように、原始感覚を最大限鋭くしてがんの養生を実践する意識改革をしましょう。

 例えば不快な肩こりを感じたら肩こりが消えるように、運動したり食事の内容を変えてみるなどして、身体の発する原始感覚に耳を傾け養生すれば良いのです。健康を維持するよう心掛ける、または健康を回復させるための養生を行う努力は治療より大切なことだと思います。

 健康を維持する基本要素には「呼吸」・「飲食」・「運動(行動)」・「精神活動」の4つがあり、さらに私たちを取り巻く生活環境とも関連しています。
 そこで、患者さん自身の責任行動である呼吸・飲食・運動・精神活動と環境の5つをテーマに、東洋医学的思考に基づいた養生法を解説してみたいと思います。
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