● がんと東洋医学的思考

 がんの養生方法の中で最も大事なことは、がんに対する考え方「意識」の持ち方だと思います。
 病気を克服しようと願うなら、まず第一に自分のからだに生まれつき備わっている生命力を最大限に発揮して根本から体調を整えるのだ、という意識を持つことです。

 例えば、大腸がんなら、がんの組織を切除したら治るのだなどと、局所だけの問題として見るのではなく、からだ全体の調子を整えて、からだ全体として持っている生体防御を高めようという意識が必要です。局所的に対処しても、もとの根本原因が変わらなければ、再発を繰り返します。

 食事においても、ただ単にたんぱく質や脂肪、炭水化物などの栄養バランスがよければそれでいい、という考えではなく食材のいのちをいただく、楽しく食事をする、感謝の気持ちを忘れない、など、いわば人間として当たり前の気持ちを持ち続ける意識があれば、栄養の身につき方も違ってきます。楽しく食事をしたほうが消化吸収効率が高いという報告もあるくらいですから。

 西洋文明は、ものごとの物質的な側面を重視するあまり、情緒的、道徳的な規範を忘れがちです。しかし私たち人間は単なる肉のかたまりではなく、心をもった存在で、細胞ひとつひとつは、理想と現実の区別がつかないともいわれています。生きがい、感動、笑い、思いやりなどポジティブな心の働きが免疫力を高めるともいわれています。気の持ちようで、心身の安定が大きく左右されるのです。そういう、現代科学では軽視されがちではあるが人間として重要な側面をも大切にしていくことが東洋医学では求められているのです。

 感謝の気持ち、思いやりの心があると、免疫力が高まり、気や血が体内に充満してくる。ふだんの生活のなかで、あれが足りない、これが足りないと足りないものを捜してはいませんか。こんなはずではなかったのに、と現在の境遇を他人のせいにしてはいませんか。周りの人に愛を求めすぎてはいませんか。自分は人になにをあたえているのか、現状を甘受して謙虚になれば、心にゆとりが生まれ、生命力が満ちてきます。

 薬には、プラセボ効果というものがあります。たとえば医者から「これは血圧をさげる薬ですよ」と言われて薬の投与を受けるとします。ただしその薬は乳糖やでんぶんでできており、血圧をさげる作用はありません。でも、それを降圧剤だと信じて飲むと実際に血圧が下がってしまう、という効果です。プラシーボ効果、あるいは偽薬効果ともいいます。 このプラセボ効果は、実際に三割程度あるとの報告もあります。
 よし、病気を治してやる、病気が治ってきた、という気持ちになれば、私たちのからだに備わっている自然治癒力が働き出します。「意識」が変われば、からだも変わるのです。

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