● 鍼灸治療における診察・診断方法

 鍼灸治療では、最適な治療方針を導くために診察を行います。この鍼灸の診察にも、西洋医学(現代医学)による場合と、東洋医学に基づいて診察を行う場合があります。


● 西洋医学による鍼灸の診察

 西洋医学による鍼灸の診察は、医師の行った病名診断を元に、障害部位の圧痛点や拘縮部位、関節などの場合は可動域の制限や、徒手検査などで診察しながら、鍼灸の治療方針を立てて行きます。医師の同意書を得て、療養日払いで健康保険を利用する場合は、医師の診察によって診断された病名(西洋医学)に基づく、鍼灸治療を行うことになります。


● 東洋医学による鍼灸の診察

 東洋医学の診察にも、脈差診や腹診など日本古来の伝統治療法による診察と、中国の伝統医学である中医学に基づく診察がありますが、ここでは、私の治療院で採用している中医鍼灸学の診察方法をご紹介します。

 中医鍼灸学の特徴は、「弁証論治」にあり、病名が同じでも、その人の体質や病気の進行状況が違うと、治療方法が異なります。中医鍼灸学での診察は、病因や病気の進行過程をも含めた病気全体の総合分析を行い、「証」を診断する手法を取ります。この診断手法を中医学では「弁証」と呼んでいます。弁証により病気の診断が出来れば、中医学の治療原則に従って、適切な治療法が決定されます。そしてこのことを「論治」と呼び、診察・診断・治療全体の流れを「弁証論治」と呼んでいます。
 
 中医鍼灸学では、正確な弁証論治によって患者様に最適な治療を提供します。そのため、「望診」、「聞診」、「問診」、「切診」の4つの診察方法を行います。中医鍼灸学での生体観は「心身一如」の立場をとり、身体の様々な所見を心身との関係で理解しようとします。そこで、身体各部の体表面に現れる様々な反応を、心身の変調の信号として五感でとらえるためには、この四診が必要なのです。

① 望診(視覚情報による診察)

 目で見る診察方法です。目の輝き、顔面や皮膚の色・艶・発毛状態、舌の色や形態、患者さんの動作・仕草などを観察します。

② 聞診(聴覚・嗅覚情報による診察)

 音色、声の調子、話し方など聴覚情報や、体臭・分泌物の臭気などの臭覚情報から観察します。例えば患者さんの声の調子や話し方から喜怒哀楽の感情情報や、胃熱などでの口臭を察知します。

③ 問診(質問形式による診察)

 西洋医学と同様質問による情報収集で、中医鍼灸学の場合、より患者さんの自覚症状を尊重します。問診では身体的愁訴だけでなく、精神状態、生活習慣、生活環境や天候・季節の影響についても詳細に聴取します。すなわち、患者さんを取り巻く環境と心身の機能状態との関連を把握しようと努めます。

④ 切診(触覚による診察)

 直接患者さんに触れる診察方法です。具体的には、
  • 手首の脈の拍動に触れ、臓腑経絡の変調を診る脈診
  • 体表部に現れる温冷・緊張・硬結・圧痛などを診る腹診や背候診
  • 経絡上を触れて、経絡上の異常を知る切経

などを行います。
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