美容鍼灸臨床研究

昨年より実施してまいりました美容鍼灸によるお顔のリフトアップ効果について、臨床試験が完了しましたのでその成果を医学雑誌に投稿しました。 

臨床現場での美容鍼灸の効果の声

患者様からのご要望があり、美容鍼灸施術を行って20年近くになります。私は、どちらかといいますと美容鍼灸の効果には疑問を抱いておりました。当院では、健康を回復された患者様に健康美容を取りいれてもらう形で、患者様の美容鍼灸のご要望に応えてまいりました。意外なことに、患者様からは美容鍼灸の施術を行った直後から、小顔になった、リフトアップ、肌に張りが出た、顔色が良くなったなど、美容鍼灸施術による美容効果が実感できると、多数のお声をいただいてまいりました。またご本人だけでなく、ご家族やご友人の方などからも同様なお声も頂いておりました。 

大学院での美容鍼灸の測定方法の開発

美容鍼灸施術の主観的な改善効果がこれほどあり、多くの施術所でも取り入れられていることから、美容鍼灸の科学的解明もさぞ進んでいるものだろうと、美容鍼灸に関する文献検索を行いましたが、当時はほとんど客観的な評価は行われていませんでした。私は元々物理系の出身なものですから、何とか美容鍼灸の美容効果を科学的に証明できないかとの思いで、55歳にして再び東洋医学系大学院に入学し、美容鍼灸の臨床研究を始めることとなりました。

当たり前の話ですが、顔は3次元の立体なのです。当時より立体の形状を高精度に測定する技術は確立されていましたので、私が配属されたる研究室でも、すでに美容鍼灸の施術効果の測定にチャレンジしていました。しかし、立体の形状の測定には何枚もの画像をスキャンして撮影し、解析します。その間に体動や顔面の表情筋が動いてしまうので、顔面の皮ふのタルミの僅かな変化を測定できなかったのです。

私は、顔面の測定方法の開発からスタートすることになってしまいました。僅かな研究費で開発するため、シンプルな測定方法に徹しました。その結果、スマートフォンを使って1/250秒で撮影した、たった1枚のデジタル画像を解析することにより、高精度に顔面の頬の皮ふのタルミを測定することに成功しました。この新規皮ふタルミ測定方法を用いて、健康成人女性の年齢と頬部の皮ふのタルミの相関を測定し、医学雑誌に論文発表すると同時に、特許を取得しました。 

美容鍼灸のランダム化比較試験

今回は、その新規皮ふタルミ測定方法を用いて、美容鍼灸の臨床試験を行いました。医薬品などの評価に用いられるランダム化比較試験という研究デザインで、20歳代から60歳代までの健康な女性に、美容鍼灸施術を受ける介入グループと、安静にしている対照グループに分けて、試験を実施しました。頬のリフトアップと、皮ふのタルミの変化と2つの指標を測定しました。結果は、リフトアップ率も、タルミの変化も、対象グループに対して美容鍼灸施術を行ったグループが、統計学的に有意に改善しました。

詳しくは、投稿論文が医学雑誌に掲載された後にご紹介したいと思います。