神農本草経薬医学
神農本草経薬医学は、故高橋穂人先生によって提唱された漢方医学です。これまで、漢方医学では治療書が傷寒論、薬学書が神農本草経と考えられてきました。しかし、高橋穂人先生の研究により、神農本草経の序録には、12の条文から構成される治療方法が示されていることが解りました。神農本草経序録に漢方医学の治療体系が記述されている事実は、これまでの東洋医学の歴史上でも、新しい発見でした。
神農本草経の漢方治療体系の中で、最も注目すべきことは、病名に沿って治療する「随病療法」について記載があることです。神農本草経の序録に記載されている病名は、西洋医学の名前とは異なりますが、西洋医学の病名に翻訳しますと「胃腸病・咳・糖尿病・女性病・便秘・痔・鼻病・腎臓病・肝臓病・神経痛・風邪・皮膚病・高血圧・虚弱体質・眼病・神経症」の16種類の病名に相当します。
ただし、西洋医学と異なる点は、西洋医学のように病名でのみ薬の処方が決まるのではないことです。病名が決まれば、併発している病気、病人の症状や体質に応じて、条文に記載された薬の配合法則に従って、処方構成を決定する仕組みになっていることです。これは、西洋医学的薬物治療法の欠点を補う西洋医学型治療法の改良型とも言える非常に有効な薬物療法と言えます。
神農本草経薬医学とホノミ漢方
高橋穂人先生によって提唱された、神農本草経薬医学は、難解な漢方医学の生理や病理を現代の医学で表現した、誰にでも分かり易い形の近代漢方医学として発展しました。高橋穂人先生の偉業は、ご子息である高橋穂綱先生に引き継がれ、現代科学による漢方薬の解析が進められ、さらに発展しています。その結果、今日では薬局漢方の中核をなす「ホノミ漢方」として、広く国民に普及しています。
神農本草経薬医学について、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が解説いしました。