不妊症の原因を解決するための具体的な養生法は

 不妊症の原因を解決するための具体的な養生法として、次のようなことがらを守っていただきたいと思います。

性交渉のタイミングを図る

 図5.に示すような月経周期中の基礎体温の記録と、膣の感触と粘液の変化の記録をつけます。
通常排卵は、低温期の最終日に起こりますので、この時期にLH検査用キットを使って、正確なLHサージを検査します。LHサージが起こってから15~24時間以内に排卵が起こりますので、これで正確な排卵日を予想します。

図7.は性交渉のタイミングを表しています。これは、予想排卵日が14日の人の場合ですが、LHサージは12日に起こっていますので、妊娠を目的とした性交渉は、LHサージ後の13日に1回と、14日に1回行うようにします。また、老化した精子との受精を防ぎ、そして精子を蓄えるために、少なくとも4日前からは禁欲します。そして、今度は老化した卵子との受精を防ぐために、妊娠のための性交渉後も、禁欲またはコンドームで避妊を行います。これは、30歳を過ぎの方の場合、ダウン症など異常児出産の確率が高まりますので、特に大切です。

強いオルガスムスを得る

健康な女性であれば、排卵は低温期の最終日か、基礎体温が上昇する直前に行われますが、実際には遅れて高温期の初日に排卵することが25%もあるようです。このような高温期に排卵された卵子は過成熟し、老化しています。

排卵日の遅れは、LH(黄体形成ホルモン)の分泌の低下が原因です。女性は強いオルガスムスを得ると、脳下垂体からのLH分泌を盛んにしますので、排卵の遅れを防ぐことが出来ます。
また、人工授精では、LH分泌はないので、過成熟の卵子になりやすいようです。

下腹部の血液循環を妨げない

骨盤内の臓器にはたくさんの血液が流れていますから、もし下腹部の血液循環が低下し、生殖器系の臓器への酸素不足・栄養不足が生じると、妊娠に重大な影響を及ぼします。卵巣で排卵時に卵子が保有するエネルギーの低下を起こしたり、卵子を包む卵胞から分泌される卵胞ホルモンや、黄体から分泌される黄体ホルモンが失調します。
また、子宮では、内膜の増殖や胎盤形成に障害を起こし、胚の着床に影響を及ぼします。

ⅰ)下腹部を圧迫する衣服の着用は避ける

スタイル保持のために無理な圧迫を加えている、ボディースーツ・ガードルなど、特に下腹部を圧迫しているものから、着用を中止してください。
骨盤の中の臓器は血液がいっぱい流れています。下腹部を締め付けることは、骨盤鬱血状態になり、下肢の血液循環をも妨げ、冷え性にもなります。

ⅱ)下腹部を冷やさないこと

空調システムが整った今日では、冬場以外にも、冷え症を起こしやすくなっています。四季を通じて特に腰から下を冷やさないような衣服の工夫を心がけて下さい。

インスタント食品や白砂糖の摂取は避け、ビタミンミネラルの豊富な食事を心がける

インスタント食品、練り製品、ゆでうどんなどには、重合リン酸がたくさん使用されています。重合リン酸自体は影響ありませんが、重合リン酸が体内から出ていくときに、食べた鉄分を全部一緒に持ち出してしまい、鉄欠乏性貧血を起こしやすくします。貧血になると胎児が多量に必要としている酸素の運搬が出来なくなります。
また、重合リン酸は、カルシウムも持ち出します。ジュースなど甘いものに大量に含まれる白砂糖も、ビタミンB群やカルシウムなどのミネラルを大量消費します。カルシウムは、骨の形成以外にも、異常出血を防ぐ重要な役割があり、不足は羊膜出血を起こし奇形を誘発する可能性もありますので、カルシウム不足には注意が必要なのです。
妊娠5週目位からは、母胎からの栄養と酸素供給が、胎児の命綱となります。貧血を初め、ビタミン・ミネラル類の摂取不足にならないよう、加工食品を避け家庭で調理した日本食の食事を多く取ることが肝要です。

コーヒーのがぶ飲み、タバコ、アルコールは避ける

カフェインの多量服用は、奇形を起こしやすくします。妊娠4ヶ月位までの、コーヒーのがぶ飲みは控えて下さい。
ニコチンは、胎盤の毛細血管を収縮させ、酸素や栄養の供給を低下させます。実際に、喫煙習慣のある女性の方が赤ちゃんの体重が小さいという報告がありますので、妊婦さんの禁煙はもちろんのこと、ご主人の同室での喫煙は控えて下さい。
アルコールは、脳など神経に対する毒性を持っているので、妊娠中の飲酒は控えて下さい。

男性は精巣温度が上昇しないように注意

男性に対する注意は、精巣の温度が高くならないように注意することです。体温と睾丸の温度は、3~5℃睾丸の方が低くならないといけないのです。睾丸の温度が低くないと、精子数が減少し、また未成熟精子を放出しやすくなりますから、ご主人の長湯を避けること、ブリーフをトランクスに替えるなどの対処が必要です。
また、睾丸は、驚きや緊張によって挙睾筋反射がおこり、身体にくっつきます。身体にくっつくと精巣の温度が上昇しますので、家庭内では奥様がご主人の緊張を解きほぐす努力が必要です。

漢方薬服用、針灸治療で健康な母体づくりをする

健康な赤ちゃんを産むためには、妊娠を成立させやすい健全な体力作りをする事です。
①~⑥のライフスタイルの改善は大切ですが、なんといっても、妊娠を成立させるための強力な体力づくりの手助けとなるのが、エッキをはじめとした漢方薬の服用と、鍼灸治療です。

東洋医学による治療は、

  • 冷え性、貧血、血行の改善を行う
  • 自律神経、ホルモンのバランスをとる
  • エネルギーをいっぱい蓄えた卵子を育て排卵させるので、受精後の初期分化がスムーズになる
  • 子宮内膜を増殖させるので着床しやすくなる。
  • 胎盤形成が出来やすくなる
  • 貧血を改善して血流を良くするので、胎児が成長するのに必要な酸素の供給・栄養供給が十分行える体力づくりが出来る

などの働きがあります。
また、「証」による診断治療方法により、個人個人の体質に合わせた、安全有効な治療が可能です。

枇杷葉温灸による骨盤内蔵器の血流改善

枇杷治療は、温熱効果、指圧効果、アミグダリンによる薬効などの相乗作用で、効率よく骨盤内の血流改善を図ることが出来ます。
棒灸と枇杷葉を使った枇杷葉温圧や枇杷葉のこんにゃくシップが有効ですが、最近では、遠赤外線を用いた治療効率の良い医療用具も販売されています。

本内容は、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が解説いしました。