漢方で考える夜間頻尿

腎虚証の夜間頻尿 漢方では、夜間頻尿を・・・こう考えます。
漢方で、排尿に関係する臓器は、腎臓と膀胱です。

漢方での腎臓の働きは?

漢方では、腎臓は腰にある臓器で、左腎の水と右腎の火と、働きの異なる左右一対の腎臓で構成されていると考えられています。

漢方医学で考える腎臓の働き 左側の腎臓、「左腎の水」には、身体を潤す体液の働きや、身体に熱が発生した時、つまり炎症反応が発生した時に熱を取り除く働きがあります。
右側の腎臓、「右腎の火」には、温煦(おんく)作用といって、身体を温めるつまりエネルギーを作り出す働きがあります。

これらの働き以外にも、漢方で考える腎臓には、精を貯蔵する働きもあります。私たちは、母親から胎盤を通じてもらった栄養や両親から受け継いだ遺伝情報など、両親から先天の精をもらって生まれてきます。
生まれてからは、消化器系を通じて、他の生き物の精つまり栄養と、肺を通して吸い込んだ精気、つまり酸素をから、後天の精を作り出し、腎臓に貯蔵していきます。

そして、これらの精は、気(エネルギー)や血(身体を構成する材料)、体液などに変化します。

漢方での膀胱の働きは?

膀胱は、尿を貯蔵、制御し、排泄する働きがあり、その経脈は腎臓と連絡していて、陰陽の表裏関係にあります。
従って、腎陽虚から膀胱が冷えて弱ると、大量の稀薄尿が排泄されてしまいます。

漢方では、夜間頻尿が起こる原因をこう考えます!

腎陽虚の夜間頻尿

腎陽虚とは、右腎の火が衰えることです。

腎陽虚のため、身体を温めたりエネルギーを供給することができなくなるので、腎臓の機能が弱ります。

腎臓は糸球体というところで、血液をろ過し原尿を作り、更に尿細管というところで、必要な成分を再吸収しています。その尿細管では、細胞のポンプを使って尿を汲み上げているので、エネルギー不足でポンプが上手く働かなくなると、再吸収できる量が減少し、その結果、多尿となってしまいます。

さらに、夜間は腎陽が衰える時間です。そのため、腎陽虚がさらに悪化するため尿量が増えて夜間頻尿になるのです。

18-2.夜間頻尿の漢方薬2 | 三砂堂漢方

漢方で考える脾(ひ)とは、現代医学でいう免疫器官としての脾臓ではなく、胃腸の消化吸収の働脾腎陽虚証と夜間頻尿きをいいます。
現代日本人は、ストレスや運動不足、湿気の多い気候に暮らすことから、胃腸虚弱な人が多く日頃の相談でも、脾虚の体質の方は多くいらっしゃいます。
脾陽虚とは、消化吸収の働きが衰え、胃腸が冷えている体質の方をいいます。脾陽虚になると、食べ物から栄養が十分吸収することができず、同時に腎陽虚を併発し易いものです。

このように脾陽虚と腎陽虚を併発している体質の方を、漢方では脾腎陽虚といいます。

腎陽虚に使用される漢方薬には、胃腸障害を起こす生薬が含まれていることが多く、特に脾腎陽虚の体質の方は、服用に注意が必要です。

本内容は、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が解説いしました。