神経症はどんな病気?
激動する現代社会、複雑に絡む人間社会、私たち現代人は、ストレスを溜め込み、心、精神の病いが増加しています。現代社会の構造は、益々複雑化し、そしてその変化は年々速度を増しています。このスピードについていこうとして我々の身体は大きな負担を強いられています。
このような中、受験戦争、人間関係等、社会での色々な競争も更に激しくなって精神的な負担も増加し、心の悩みを拡大している姿が浮かび上がってきます。
現代人は心身共にストレスを受けると、精神的な症状が現れるだけでなく、自律神経やホルモンの中枢である視床下部の働きが乱れ、心と身体のバランスを大きく乱し種々の不定愁訴が現れます。
特に心の病は、不安神経症、心気症、強迫神経症、ヒステリー、恐怖症、うつ病などがあり、精神の状態に悪影響を及ぼすだけでなく、自律神経失調を起こし、身体に様々な症状を現します。
ストレスに打ち勝つ為にも、心と身体のバランスを整えていくことが大切です。
その為にはお薬と同時に、周囲(家族)の理解と共に病人自身がストレスを発散する為に趣味を持つことも必要です。
どんな病気? 神経症、自律神経失調症、うつ病
「病は気から」と昔から言われるように、心の病が身体の病を引き起こすことはよくあります。また逆に、身体の病が心の病を引き起こすこともあるのです。
そこで、心の病の中でも最近多い身近な問題の神経症自律神経失調症、うつ病を中心にお話ししましよう。
神経症
心理的な原因によって起こる心の病は、不安神経症、心気症、強迫神経症、ヒステリー、恐怖症などに区別されます。
不安神経症
急になんともいわれぬ漠然とした不安におそわれ、動悸や冷や汗、胸苦しさ、呼吸困難といった症状を起こします。
心気症
検査をしても異常がないのに、ささいな身体の苦情を気にして重大な病気にかかっているのではないかと思い悩む状態です。
強迫神経症
ガス栓、電気等のスイッチの始末が気になって、何回も確認しなければ気がすまないという強迫観念が強くなって、日常生活に支障をきたして悩む状態を言います。
ヒステリー
対人閔係や生活上の問題が心理的なゆがみを起こし、目が見えない・感覚がなくなるといった身体症状や、健忘・もうろつ状態といった精神症状が現われます。
恐怖症
人に会つ尼ときに顔が赤<なるのではないかと心配する赤面恐怖や人と会うのが怖い対人恐怖などの強い恐怖感をいだきます。
自律神経失調症
自律神経失調症は、心の悩みで起こる身体の病気です。例えば、仕事や家庭のことで悩み、高血圧、胃腸障害、頭痛、めまいなど、痛み様々な不定愁訴が身体に現れます。
自律神経失調症は表面的に現われるのは身体症状が主で、精神症状は余り目立ちません。
うつ病
埋由もなく、気分が沈み、なにごとも非観的に考えるといった憂うつ感の為に、灰色の世界に押し込められた感じになります。
そして、食欲不振、便秘等色々な身体症状が起こります。
これらのような心の病は、身体に様々な苦情を引き起こしますが、その他にも眠れないといった不眠の苦情等も又引き起こしたりします。
そして、身体の苦情や不眠は、更に心の病を悪化させるといった悪循環を呈してしまいます。
現代医学では、心・精神の病気をこう考えます
現代医学では、心の病対策として心理的な働きかけを行って治療する精神療法と薬物療法で治療していきます。
ここでは、よく利用される薬物についてお話ししましよう。
抗不安薬
不安に対する作用が優れていて、鎮静、催眠の作用があります。
その為、不安神経症、強迫神経症、恐怖症、心気症、ヒステリー等の神経症や心身症、そして不眠症にも利用されます。
副作用: しばしば眠気、めまい、ふらつき、さらに易疲労感、倦怠感を起こすことがあります。
又急に上めるとかえって不安感等が強く出やすくもなります。
注 意: 漫然と長期服用|こなりやすく、数ヶ月以上の連用で精神的・身体的依存を生じることかあります。
又乱用に対する問題もあります。
不安感を緩和するお薬こして、心の病によ<利用される抗不安薬。
しかし、心の病は身体のバランスが乱れて身体に苦情を起こします。この身体のバランスの乱れを整えないと根本療法にはなりません。
漢方薬の世界では、心・精神の病気対策をこう考えます
漢方薬の世界では、身体のバランスの乱れを整えて心の病を改善しようとします。
この心の病によく利用される漢方薬について、いくつかの代表処方を紹介しましよう。
柴胡加竜骨牡蛎湯
体力があり、肝障害のある者の血行不艮・心臓異常のために起こっている神経症状を鎮めてやる漢方薬です。
桂枝加竜骨牡蛎湯
この漢方薬は、精神力の消耗からの亢ぶる神経の鎮静と、消耗した脳中枢神経の働きのために起ごった下焦三臓器(生殖器・排尿器・排便器各系)の亢進型に効く働きがあります。
【注意!】
柴胡加竜骨牡蛎湯や桂枝加竜骨牡蛎湯は心の病が原因で起こる苦情(例えば胸やけや下痢等)に効果あるものですが、心の病が原因でない場合、かえって苦情を悪化させることもあり、その選薬には注意が必要です。
現代人向け神経症、自律神経失調症、うつ病、不眠症の漢方薬の処方例
比較的体力がなく、胃腸も弱い現代人の神経・精神の病気を考えて創り出された漢方薬、そして不眠症を考えて創り出された漢方薬を、構成する生薬の働きから御紹介しましよう。
下の右上の図は、厚朴・紫蘇葉などの脳の興奮を鎮め自律神経を整える生薬群と、半夏・茯苓・生姜など消化器系(胃や腸)の働きを整え、合わせて不良水分な取り除くことで、身体の辛い苦情を楽にする漢方薬の生薬群から構成されています。神経症、自律神経失調症、うつ病など、現代人向けの神経症用漢方薬です。
下の左下の図は、炎症を取り除き、不眠など身体の苦情を起こす根本的な体質を改善する現代人不眠症用漢方薬の生薬構成です。
これらの生薬を組み合わせることで、不眠や神経症など心や精神の病気にに対応した漢方薬が出来ます。
(注意)
薬局製造医薬品として厚生労働省で認められている漢方処方の配合比や、構成生薬を変更することは、無許可医薬品製造に当たり、法律で厳しく罰せられます。上記の内容の漢方処方は、一般用医薬品として厚生労働省の許可を受け製造されている漢方処方です。
最後まで、ご覧下さいましてありがとうございました。
本内容は、大阪府堺市 三砂堂漢方 三砂雅則が解説いしました。