ビワ温灸の施術

健康情報新聞 ビワと健康 「坐骨神経痛が短期改善」

 鍼とビワ温灸の併用による座骨神経痛の改善例を紹介させていただきます。

今年3月5日、51歳の男性がホームページを見て訪ねてこられました。
32歳の時に仕事中に送電線を持ち上げた際、脊椎がボキボキと音を立てて痛みが走ったにもかかわらず病院には行かず、以来、20年近く痛みが出るたびに整体や指圧など東洋医学の治療を受けながらしのいでこられたそうです。

しかし、騙し騙しの治療もついに限界がきたらしく、当院を訪ねる2~3週間前からは毎朝30分の通勤時間すら我慢できないほど痛み、とりわけ起床時や椅子から立ち上がる時などは激痛に襲われ、さすがに今度こそは徹底的に治したいと決意されたそうです。

症状としては、左右の脚の背面が座骨神経に沿って、ビリビリと痛むそうです。
中医学的な診断では肝気鬱結、気滞血オ、足の少陽胆経脈病、足の太陽膀胱経脈病といった四つの弁証が認められました。
元々は外傷によって起こった症状でしたが時間の経過に伴って筋肉が硬縮を起こして血流が停滞し血オ証を生じていました。
また、仕事上のストレスから肝にも異常をきたし、気の調節ができなくなって経絡上の気が滞り、血が停滞している状態でした。
つまり、物理的な刺激と精神的な刺激の二つの要因が重なって血オ証を引き起こしていたのです。

1.ビワ温灸でお血を除く

3月9日、二度目の来院時より治療に入りました。
肝気鬱血には鍼治療を、足の少陽胆経脈病と足の太陽膀胱経脈病には鍼とパルス通電を施しました。
内臓の調節や気の停滞は鍼で改善を図ることができるのですが、ビワ温灸を併用するとオ血の除去に格段の効果が得られます。
ビワエキスに含まれるアミグダリンには血液を浄化する薬理効果があり、温灸の熱にもオ血を取る効果があり、さらに温圧器の形状的な利点として吸角法いわゆる吸玉効果があって、その三つが相乗効果をもたらすのです。
それは単に三者の利点が合算されるという次元ではなく、掛け算をしたような威力を発揮します。
ビワ温灸を施すと背中にオ血が上がるのがよく分かります。経穴でいうと「心兪」「カク兪」の周辺の細絡が拡張しオ血が表面に上がってくる様子が見てとれます。
ビワ温灸はオ血の除去に効果がある!
これは、ビワ温灸をどう用いるとより効果的であるかを臨床経験や中国の古典をいろいろ調べた結果、たどり着いた一つの結論です。
したがって、私はビワ温灸を直接患部に当てることはあまりしません。

2.2ヶ月でほぼ完治

さて、この男性の治療経過ですが、左右の座骨神経に沿った脚の背面部の痛みを主な症状として挙げ、改善の経過をデータに取りました。(下図参照)

ちなみに当院では、「貴方の痛みの辛さを教えて下さい」として痛みの程度の変化をデータとして全員記録しています。
つらさの段階表示は、5:耐え難いほど、4:強度、3:中等度、2:軽度、1:ほんの少し、0:症状はない、としています。
痛みの程度は主観的なものなので他人との比較は難しいのですが、データを取ることで個々人の改善の推移を明確につかむことができるのです。
この男性は当初、座骨神経に沿った脚の背面や股関節の痛みの度合は4.5でした。ほとんど耐え難い痛みです。
初めのうちは週2回の頻度で通われ、1ヶ月後の4月10日には1.5まで軽減し、ほぼ改善のメドがつきました。

それからは週1回のペースに切り替え、約2ヶ月を経た5月25日には脚の背面は左0、右0.5、股関節は左右とも0になりました。
2ヶ月足らずで本人が希望した徹底的な治癒にほぼ達したことになります。
一時、気候の変化や仕事の状態で経絡に水(津液)が溜まって痛みのレベルが3まで上がったことはありましたが、ビワ温灸の併用によって順調に改善が進み、痛みから解放された今は大変喜んでおられます。

◎三砂堂漢方鍼灸院 (ご紹介はこちらです。)
大阪府堺市丈六173-6
電話:0722-35-8282

(上記の文章、写真及び図表は、ビワの葉温熱療法普及会が発行している情報紙『ビワと健康』に掲載された記事を、転載しています。 )